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外国人労務管理Q&A集

1.外国人の招へいに関するQ&A

  • 私の経営する会社で、海外に在住する外国人を採用する予定です。そのためには、「在留資格認定証明書」というものが必要だと聞きました。一体どのような書類でしょうか。
    「在留資格認定証明書」とは、法務大臣があらかじめ在留資格に関する上陸条件の適合性を審査し、その結果、当該条件に適合する場合に発行される証明書のことをいいます。
    外国人材を招へいする場合、まずは出入国在留管理局に対して、この在留資格認定証明書の交付申請を行い、それが発行されたら、海外に在住する外国人に送付して、査証発給の手続を行うという流れが一般的です。
  • 在留資格認定証明書の交付申請をしてから証明書が発行されるまでどのぐらいの時間がかかりますか。
    事案の難易によってケースバイケースです。早ければ1か月程度、遅い場合ですと1年近くかかる場合もあります。

2.外国人の雇用に関するQ&A

  • 私は、日本で建設業を営んでいる日本人です。外国人労働者を雇用するにあたって気を付けることは何かありますか。
    在留資格によって就労することのできる仕事の内容が異なります。原則として、作業現場における労働等の単純労働に就くことができるのは、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の在留資格を有している者だけです。したがって、雇用しようとしている人が労働の内容とマッチしているのか、在留資格を聴取して、確認する必要があります。
    なお、単純労働に就くことのできない労働者を労働させることによって、雇用主が罰せられる可能性もありますので、外国人の雇用に当たっては注意する必要があります。
  • 私はインド料理レストランを経営しています。インド料理のインド人調理師を雇用したいと思っているのですが、調理師にはどのような在留資格が付与されますか。また、どのぐらいの経験のある調理師であれば、日本に呼び寄せることができるでしょうか。
    一般的にインド料理の調理師には、「技能」の在留資格が付与されます。また、外国人調理師を呼び寄せるためには、当該外国人調理師に10年以上の実務経験が必要です。
  • 私はインド料理レストランを経営しています。「技能」の在留資格を有する調理師にキッチンではなく、接客などホールの仕事をさせることはできるのでしょうか。
    「技能」の在留資格を有する調理師については、ホールの仕事をすることは想定されていません。ホールの仕事は、日本人、あるいは、「技能」以外の在留資格を有する外国人(例えば、永住者、定住者)に行わせる必要があります。
  • 私は、中華料理レストランを経営しています。難民認定申請をしている人を私のレストランで採用し、キッチンで皿洗いの業務につかせることはできますか。
    難民認定申請中の者のうち、「特定活動」の在留資格を有して、資格外活動許可を受けている者については、そのような業務につかせることも可能です。難民認定申請中の者の中にも、在留資格を有していない者や、在留資格を有していても資格外活動許可を得ていない者もいますので、採用前に在留カードを確認する必要があります。
  • 留学生をアルバイトとして採用する場合に注意することはありますか。
    「留学」の在留資格で在留する外国人については、原則として、アルバイトなどの報酬を受ける活動を行うことはできないとされています。したがって、留学生をアルバイトとして採用するためには、当該留学生が「資格外活動許可」を受けていることが必要です。
    また、「資格外活動許可」を受けている留学生であっても一定の制約があります。まず、労働時間については、原則として週に28時間以内という制約があります。また、スナックのホステスなど、風俗営業の業務につかせることはできません。
  • ITの技術者として日本で働いている外国人の外国籍の妻を、私の経営している貿易会社で採用したいと考えております。在留資格は「家族滞在」と聞いています。採用することはできるのでしょうか。
    家族滞在の在留資格を有する外国人については、原則として就労が認められていませんが、留学生と同様に資格外活動許可を受けた場合には、週28時間までの就労が可能となります。したがって、あなたの会社で採用しようとしている外国人についても、資格外活動許可を受けているかどうか確認することが重要です。
  • 私の会社で外国人のIT技術者を採用する予定です。日本人を採用する場合と比べて、社会保険について何か違いはありますか。
    原則として、労働保険、社会保険ともに日本人と同じ条件で加入する必要があります。外国人であるというだけで、日本人と異なる取り扱いをすることはできません。ただし、日本と当該外国人の国籍国との間で社会保障協定が締結されており、かつ、当該外国人が母国で社会保障制度に加入している場合には、日本の社会保険に加入する必要がない場合もあります。詳細については、専門家に確認する必要があるでしょう。
  • 私の会社で知り合いから紹介された外国人を採用する予定です。当該外国人は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって、Aという会社に勤めていたのですが、上司との折り合いが悪く、先月退職したそうです。このまま「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で私の会社で働かせても問題ないのか、確認する方法はないでしょうか。
    転職後の就労活動が、現在当該外国人が持っている在留資格の範囲内のものかどうかを確認するためには、出入国在留管理局に対して就労資格証明申請を行うとよいでしょう。就労資格証明書が得られた場合には、貴社での仕事の内容が現在の在留資格に適合することが確認できますし、将来の在留期間更新もある程度見通しが立つことになるでしょう。
  • 当社は外国に本社のある企業です。本社で雇用契約を結んだ社員が、企業内転勤で日本支社に配属されました。雇用契約書では、準拠法は本社のあるA国法と記載されています。本社からは、A国法に基づくと残業代は支払う必要がないと言われています。日本の法律に基づいて残業代を支払う必要はないでしょうか。
    残業代についての労働基準法の規定は、強行法規です。したがって、準拠法がA国法と記載されていたとしても、日本法に基づき残業代を支払う必要があると考えられます。

3.労働問題に関するQ&A

  • 外国人労働者については、日本人よりも低い賃金で働かせても問題はありませんか。
    外国人労働者であっても、日本人と同様に最低賃金制度の適用があります。したがって、給与の額を各都道府県が定める最低賃金以下の金額にすることはできません。また、外国人であることの一事をもって、日本人よりも給与額を定額とすることは、国籍による不当な差別に該当します。したがって、合理的な理由なく、日本人労働者と比べて外国人労働者の賃金を低額とすることは許されません。
  • 私の会社で働いている従業員は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を有しています。先月、在留期間の更新許可申請を行ったところ、不許可となりました。本人に事情を確認すると、昨年、車を運転中に事故を起こし、罰金刑を課されていたことが理由だと分かりました。当該外国人を解雇しても問題ないでしょうか。
    我が国の労働法上、労働者の解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、無効とされます。そこで、当該外国人の在留期間が更新されなかったことをもって当該外国人を解雇することが、「社会通念上相当」と言えるかが問題となりますが、解雇しなければ、雇用主自身が不法就労を助長していることとなり、不法就労助長罪に問われる可能性もでてきますので、解雇には客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と言えるものと思われます。ただし、更新が不許可となった場合でも、再申請により許可となる場合もありますので、不許可の結果が出て直ちに当該従業員を解雇することは避けた方がよいように思います。

4.不法就労に関するQ&A

  • 外国人に不法就労をさせてしまった場合、雇用主に対しては、何らかのペナルティはありますか。あるとしたら、どのようなペナルティですか。
    雇用主も不法就労助長罪に問われる可能性があります。有罪となった場合には、懲役刑、罰金刑が科されます。
  • この度、当社で正社員として働いていた外国人の一人が在留資格を有しておらず、オーバーステイの状態にあることが明らかとなりました。在留資格のない外国人を就労させることは犯罪に該当すると聞いております。したがって、当該従業員は即時解雇してしまって問題ないでしょうか。
    当該従業員が在留資格を有していなかったとしても、労働契約自体は有効であり、日本の労働法規が適用されることから、合理性を欠く解雇については無効とされる可能性があります。したがって、いかなる対応をとるかについては慎重に検討する必要があります。
  • 先日、当社の従業員で仕事中に事故に遭い、怪我をしました。事故の状況について当該従業員から事情を聴いていたところ、当該従業員は在留期間を経過し、オーバーステイの状態にあることが明らかとなりました。この場合、当該従業員は労災保険の給付を受けることができるのでしょうか。
    在留資格の有無にかかわらず、労働災害によりけがをした場合には、労災保険の給付を受けることが出来るとされております。

5.その他のQ&A

  • 私の会社には、数名の外国人の従業員がいます。彼らが勝手に母国に帰国してしまうと会社としても困りますので、会社でパスポートと在留カードを預かろうと考えています。問題はないでしょうか。
    日本に適法に在留する外国人は、入管法上パスポートや在留カードの携帯が義務付けられています(中長期在留者については在留カードのみ)。これらを携帯していなかった場合、警察に摘発される可能性もあります。したがって、従業員からパスポートや在留カードを預かることはするべきではありません。
  • わが社で働いている外国人従業員(在留資格は「技術・人文知識・国際業務」)は、母国に妻と子ども(5歳)がいます。彼女たちを日本に呼び寄せることはできますか。
    妻及び子は、家族滞在の在留資格を取得できるものと考えられます。まずは、出入国在留管理局に対して、在留資格認定証明書の交付申請を行うようにしましょう。